メディテーションを続けると、実生活やビジネスの現場でどうなるの?という質問が良くあります。
そんな時お答えするのは、「人の話を良く聞けるようになる」ということ。そんなこと社会人なら当たり前だよと言われることもありますが、会議や意見交換などのシーンをちょっと想像してみてください。
人とお話する時、なにか気持ちが焦っていたり、特に自分の話を聞いてもらいたいと思っている時は、相手の話を聞きながら、次に返す言葉を頭の中で探していないでしょうか?また、話の途中で「わかる、わかる」と言って相手の話に割り込んだり、まだ相手が話しているのに返事をかぶせたりしていないでしょうか?
つまり私たちは、人の話をちゃんと聞かずに、頭の中で同時に考え事をしているのです。この状態で、果たして人の話を聞いていると言えるのでしょうか。考え事をしているときは、自分の作り出した思考の世界にお出かけしていて、その間は、相手の話を聞き漏らしている。こんな状態では本当のコミュニケーションとは言えません。
それは、考え事をしながら本を読むのと同じで、ストーリーがなかなか頭の中に入らず、結果、何度も何度も同じところを読み返してしまうのと似ています。
つまり相手の話を聞いているようでまったく聞けていないのです。
ビジネスではよく、マルチタスクという言葉を聞きますが、そもそも人間の脳は、何かを同時に処理することはできません。一度に二つのことを処理しているようで、一つずつをなるべく早く処理しているだけです。
マルチタスクは、効率やスピードを上げる方法として取り入れられていると思いますが、聞くことと考えることの2つの動作を何度も何度も行き来することは、全体で考えた時に、果たして本当に効率がよいのでしょうか。
マインドフルの定義は、自分の動作や所作に意識を置いていること。
何かをなるべく正確、丁寧に行うには、マインドフルな状態でないとできないということは、なんとなくイメージできると思いますが、私達は自分の意見を相手に伝えたいという気持ちでいっぱいになると、相手の話をあまり聞いていないという、とてもマインドレスな状況に陥りやすいのです。
メディテーションは、落ち着いて「今ここ」にいることで、人の話をマインドフルに「聞いていられる力」を養い、それにより相手の話をよく理解できるようになるという「心のトレーニング」でもあるのです。
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